夢のような幻のような…

あれは何だったのだろうか。
連日の飲み会と疲れにより目を閉じようとしていたところに電話が鳴った。

電話には元カノの名前が。
少しためらいながらも酔った頭では電話に出る以外選択肢は浮かばなかった。

彼女は4月3日に誕生日を迎え、LINEでメッセージを送っていた。研修で忙しいこともわかっていたので返信など微塵も期待していなかった。

彼女が電話で伝えたいことはこうだった。

誕生日に連絡くれてありがとう
研修で忙しくも充実した日々を過ごしている
時間にルーズなところを思い知らされて反省しつつも変わるために工夫をしている
明日はとても大切な実践プログラムがあり、楽しみだが緊張している

つまり彼女はリヨンの誕生日おめでとうメッセージをきっかけに自分と話したいと思ってくれていたのだ。
素直に嬉しかった。
それが好きという気持ちがなかったとしても。

今の彼女と付き合って約2ヶ月で味わった充足感を簡単に凌駕していることに気づいた。
どうしようもなく彼女はリヨンにとって忘れられない人なのだと痛感した。

彼女の活躍を祈るとともに、もし心身疲れてリヨンを頼ってくれたなら、喜んで宿り木になろうと思えた。